書店がない
2014-04-19



禺画像]

昨日、体調が良いと言う母を車に乗せて駅前の書店へ行った。
自分で好きな本を選ぶ事に熱中する母を後ろから支え、店内を廻る。
そしてこの人は本当に本と書店が好きなのだなと思う。
文庫を何冊も選ぶ母の顔が、久しぶりに笑顔だったんだ。

でも、帰宅後ぐったりと疲れ座り込む母を見て、やはり負担が大きすぎたかと後悔をする。
車から下り、エレベータに乗り降りし、広い店内を移動する事は今の母にはもう無理があるんだ。

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本の虫と言う言葉が有るけれど、母はまさにそれだ。
元気だった頃の日課は自宅と図書館や書店との往復で、月に30冊は読んでいたようだ。
突然の闘病生活が始まり、今では僕が付き添っての通院と買い物以外は外出できない。
だから母の読む本は僕が見繕って買ってゆくものばかりになった。

母親と中年男の息子など、それまで殆ど会話もなかったのだ。
一緒に生活していた訳でもないし、その読書傾向など解るものか。
それでも僕の持ってゆく本を嬉しそうに受け取る姿を見るにつけ思う。
好みの本をじっくり自分で選ばせてやりたいんだ。
僕もそうだから良く解るけれど、Amazonでなど本は選べない。
書店で手に取りページを捲り選ぶ行為がすでに読書趣味の一部であるんだ。

あまり歩く事ができない母が駅周辺の書店に出向く事は無理だ。
駐車場に車を停めてすぐに買い物の出来る書店。
それも車での移動時間は短いほど良い。
でも、そんな書店がない。
自宅周辺でここ数年の間に、何軒もの書店が消滅してしまったんだ。
あそこも、あそこも、あそこも閉店し、ハードオフとかコンビニとか100均とかになってしまった。
まったく、なんてこった。







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