ある学校のこと
2015-03-04


朝5時半、小雨の中を犬と散歩したときの気温は3度。
まだ寒いけれど、空気にもはや真冬の厳しさは無い。
もうすぐ啓蟄。
厳しい季節を越えたからこそ、春を喜ぶ事が出来る。
人の世も常にそうであってほしい。

仕事は特記事項なし。
クリニック受診の為、少し早めに退勤。
夜はMが来る予定。

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Mの末っ子は高校を出たものの進路が決まらない。
本人が熱望する職があり努力もしていたけれど、狭い門で現実的では無かった。
その挫折の後、短期のバイトを繰り返し今に至っている。
本人も、もうどうすれば良いのか解らなくなっているのでは無いのか。

彼と話すたび、どうにかしなければと焦っていた。
いくつかの職業を挙げ、それに就くための方法を示したりもした。
どうしても身近に居るオトナとして「将来にわたり食える職」を考えてしまうんだ。
けれど本人が気乗りしないものはどうしようもない。

その彼が年末辺りから動き出し、行きたい学校があると言い出した。
すでに説明会にも行き、希望すれば入学できるところまで来ている。
でも今一つ素直に喜べないのは、引っ掛かる所が幾つかあるからだ。
無試験で入学できるところ。 2年間の全寮制で、掛かる金額が大きいところ。
卒後、どんな職に就くのか良く解らないところ。

そこでの2年は過ごす価値のある時間なのか。
彼を赤ん坊の頃から知っている者として、応援してやりたい気持ちがある。
それでも現実を見て、趣味と仕事は分けて考えろと諭すのが僕の役目か?
でも今のままでどんな職に就けるというのか?
かと言って、その学校を出たらどんな職に就けるというのか?
ぐるぐると、この頃そんな事ばかり考えていた。

入学手続きまでもうあまり時間が無い。
明日、車で3時間ほどの場所にある学校と寮を見に行く事になっている。
その時に彼とよく話してみるつもり。
そして本当に意志が固く覚悟が有ると言うのなら、食費込みだという寮費を貸してやるか。
将来返してくれても良いし、戻って来なくても構わない。
これを最後として援助しようか。
そんな気持ちに傾きつつもある。


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